プロフィール

  • 越前敏弥
    文芸翻訳者。 いまのところ、更新は週1、2回程度です。 ご感想・お問い合わせなどは office.hyakkei@gmail.com へお願いします。
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2017年2月

2017年2月24日 (金)

「おやすみ、リリー」特設サイト&読者モニター募集

【2月28日追記】『おやすみ、リリー』の読者モニター募集は、3月3日(金)正午に締め切ります。予想をはるかに上まわる反響があったため、定員を50名から100名に増員しました(抽選制)。

 4月15日刊行予定『おやすみ、リリー』(スティーヴン・ローリー著)の特設サイトがハーパーコリンズ・ジャパンのオフィシャルサイト内にオープンし、読者モニターの募集がはじまりました。特設サイトはここです。

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 原題は Lily and the Octopus。心やさしいゲイの青年テッドと、天真爛漫なダックスフントのリリー、そして謎のタコの三者を主人公とした楽しくも哀しい物語です。リリーもタコもごくふつうに会話をする、不思議な味わいの作品で、動物を飼っている(いた)人はもちろん、性別や年齢やライフスタイルに関係なく、多くの人たちの共感を呼べる作品です。 

 この作品の全文を収録したサンプル版ができあがり、事前に読んでいただく読者のかた50名を募集しています。応募はツイッターとメールのどちらでもかまいません。詳細については特設サイト内の案内をご覧ください。 

 上の書影の右にある文は、訳者あとがきの冒頭部分です。このような作品、自分にとって記念すべき作品を訳す機会が久々に訪れ、日本の皆さんに広く紹介できることをうれしく思っています。読者モニターとして、いち早くこの作品を手にとってくださることをお薦めします。

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2017年2月20日 (月)

INFORMATION 2017-02-20

 あす発売される《通訳・翻訳ジャーナル》2017年春号に「小説を訳そう 越前敏弥の文芸翻訳ドリル」第4回が掲載されています。今回はダン・ブラウン『天使と悪魔』から。

  「文芸翻訳ドリル」は、これまでは10行程度の英文の生徒訳と講師訳を比較して解説する形でしたが、次号でリニューアルし、おもに小説で見られる誤訳・悪訳や、逆にすぐれた名訳の例などを思いつくままにいくつか紹介していきます。引きつづき、どうぞよろしくお願いします。

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 NHK文化センター青山教室で、4月1日(土)の午前中に、一般講演「翻訳の世界への招待~『翻訳百景』こぼれ話」をおこないます。去年の夏に京都教室で開催したものと似た内容です。翻訳や語学の勉強の経験がまったくない人も、どうぞ気軽にお越しください。

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 朝日カルチャーセンターの4月期の講座受付がすでにはじまっています。今期から横浜でも開講します。それぞれの公式サイト(新宿中之島横浜)の「講座を探す」に講師名を入れて検索してください。

 内容の詳細については、後日このブログに書きます。

 なお、朝日カルチャーセンターとNHK文化センターでの講演・講座の内容は重複しないので、よかったら両方にご参加ください。

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 DOTPLACEの連載〈出版翻訳あれこれ、これから〉(全10回)が先日完結しました。まとめて読みたいかたは、この記事を見てください。

2017年2月17日 (金)

連載「出版翻訳あれこれ、これから」完結

 DOTPLACEの連載〈出版翻訳あれこれ、これから〉の第10回「出版翻訳者の心がけるべき8か条(後編)」が公開されました。前編と合わせて読んでください。
 全10回の連載がこれで完結しました。現在の出版翻訳のあり方について、思いつくままに書きながら、自分のなかでも少しずつ問題点を整理できたと感じています。このような機会を与えてくださった DOTPLACE の関係者のみなさんにこの場を借りてお礼を申しあげます。
〈出版翻訳あれこれ、これから〉の全記事は以下のとおりです。未読のかたはまとめてどうぞ。 
 

 第1回「翻訳小説のおもしろさを伝えるために
 第2回「
翻訳書が出るまで
 第3回「
翻訳出版の企画を立てるには
 第4回「
翻訳書の読者を育てるには
 第5回「
出版翻訳の印税や契約について
 第6回「
全国翻訳ミステリー読書会
 第7回「
はじめての海外文学について
 第8回「
《BOOKMARK》、サウザンブックスほか
 第9回「
出版翻訳者の心がけるべき8か条(前編)
 第10回「
出版翻訳者の心がけるべき8か条(後編)

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2017年2月10日 (金)

『翻訳百景』刊行1周年+「なんのために学ぶのか」全文掲載

 著書の『翻訳百景』(角川新書)が刊行されて、きょうでちょうど1年になります。すでに購入してくださったみなさん、さまざまな形で紹介してくださったみなさんにあらためてお礼を申しあげます。

 刊行当時にもずいぶん紹介しましたが、これは文芸翻訳の仕事や翻訳書の愉しみについてさまざまな角度から書いた本です。翻訳書に興味がある人はもちろん、あまり読んだことのない人も楽しんでもらえると自負しています。読書メーターに集まった感想はここで読むことができます。

 この本は、もともとこのブログや各種雑誌などに書いた内容を再構成したものですが、長さの関係で載せきれなかった話もかなりあります(翻訳百景ミニイベントのこと、エラリー・クイーンの新訳のこと、six words のことなどなど)。それらを続編として刊行するのは現状ではちょっとむずかしいのですが、この本が継続してある程度売れていった場合、大幅に加筆した文庫版を出すことはおそらく可能です。そんな事情もあるので、引きつづきどうぞよろしくお願いします。

 何もかもをここで紹介するのはむずかしいので、もくじだけを掲載させてください。

第1章 翻訳の現場
 ・文芸翻訳の仕事
 ・すぐれた編集者とは
 ・翻訳書のタイトル
 ・翻訳の匙加減
  

第2章 『ダ・ヴィンチ・コード』『インフェルノ』翻訳秘話
 ・『天使と悪魔』と『ダ・ヴィンチ・コード』
 ・『デセプション・ポイント』と『パズル・パレス』、映画二作ほか
 ・『ロスト・シンボル』と『インフェルノ』
 ・ドン・ブライン『ダ・ヴィンチ・コッド』翻訳秘話
 

第3章 翻訳者への道
 ・わたしの修業時代
 ・なんのために学ぶのか
 

第4章 翻訳書の愉しみ
 ・全国翻訳ミステリー読書会
 ・読書探偵作文コンクール
 ・「紙ばさみ」って何?
 ・『思い出のマーニー』翻訳秘話
 ・ことばの魔術師 翻訳家・東江一紀の世界

 このなかで、第3章の「なんのために学ぶのか」だけは、翻訳の仕事の話とは一見あまり関係がありませんが、自分がいま翻訳の仕事をしている原点とも言うべき考え方なので、あえて収録したしだいです。5ページ半程度のものですから、1周年を機に、ここに全文を掲載します。ちょうど受験シーズンでもあり、受験生やご家族の人たちへの励ましのことばとしても読んでもらえたら、とひそかに思っています。

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   なんのために学ぶのか  

 いつの間にか、本業であれ副業であれ、講師として過ごした期間が三十年を越えた。そのあいだに多少とも子育てにかかわってきたこともあり、教えることや学ぶことの意味について、自分なりに長く考えてきたつもりだ。わたし自身は、周囲が勉強しているのに怠けつづけた時期と、だれにも負けないくらい勉強した時期の両方を経験したが、そんな立場から、いま感じていることを少し書いてみよう。  

 将来のためにTOEICや英検などを受けたほうがいいのかどうかと、いまでもよく尋ねられる。TOEICであれ英検であれ、資格試験というのは終着点ではなく通過点であり、目的ではなく手段である。そのことを自覚していれば受ける意味があるし、自覚していなければなんの意味もない。月並みだが、それが自分の答だ。
 たとえば英検の場合、二級までは四択問題で六割ぐらいの正答率で合格する。六割ぎりぎりで合格したとき、それが「目的」ならうれしいだろうけれど、「手段」ならうれしいはずがない。二級は高校修了程度、三級は中学修了程度とされているが、四択問題でたったそれだけしか正答できないのに、修了程度の実力がついたと錯覚するのがいちばん困る。学校単位で受けるような場合には、生徒のためにも、無理に上の級を狙わせるのではなく、なるべく相応の級を受けるよう、周囲が指導すべきだと思う。
 わたし自身は、中学三年で英検の二級に合格したが、そのときの正答率はおそらく六割ぎりぎりで(当時は自分の得点を知らされなかった)、正直なところ、何が書いてあるか、ちんぷんかんぷんに近い状態だった。二次試験の面接でも、ひとつの問いでは何を尋ねられているかまったくわからず、すっかり黙してしまったので、落ちたとばかり思っていたら、合格の知らせが来た。もちろん、そのときはうれしくてたまらなかったが、実力不相応の大きな目標を達成できたせいで、それ以降は英語の勉強をやめてしまい、本格的に再開したのは大学受験の予備校にかよいはじめてからだった。あのとき、しっかり不合格をもらっていたら、もっと早い時期に本物の実力をつけていただろう。十代の苦い思い出のひとつだ。
 

 数年前、知り合いの男の子が中学受験をしたところ、第四志望までの学校がすべて不合格となり、ようやく第五志望の学校に合格した。落ち着いたころ、その子が母親にこう言ったという。「落ちてばかりでつらかった。でも、三年間、いろいろ勉強できて楽しかったよ。中学受験してよかった。お母さん、ありがとう」おそらくその子は、第一志望に合格する以上のものを手に入れたはずだ。
 わたしが最初にアルバイトで教えた中学受験専門の学習塾には、「中学受験の結果で最もよいのは〝努力して落ちること〟、二番目は〝努力して受かること〟、三番目は〝努力しないで落ちること〟、最も悪いのは〝努力しないで受かること〟」というモットーがあった。合格が最終目標であるはずなのに、落ちるほうがよいとは何事だと、いまの時代なら親たちから怒鳴りこまれそうな文言だ。しかし、翻訳の仕事をはじめる前の十年以上に及ぶ講師生活で、わたしが見てきたなかには、中学受験で力不足なのに合格したことがその後けっしてプラスに働かなかった例も、中学受験で不合格だったことがその後大きくプラスに働いた例も、数えきれないほどあった。
 もちろん、その四つの順位づけはただの建前や絵空事かもしれないし、現実はそんなに甘くないのかもしれない。合格したことでモチベーションがさらにあがることも多いし、再起のチャンスが二度と訪れない場合もある。それでも、重要なのは結果ではなく、それに向けての努力だという、ごく当然のことなのに忘れがちな事実を、ときどきでもいいから思い出したいから、こんなことを書いている。
 わたし自身は大学受験で二度失敗し、三度目に合格している。一度目は努力しないで落ち、二度目は努力して落ち、三度目は努力して受かった。四つのうち三つまでを経験したわけだが、残りのひとつ〝努力しないで受かること〟がなかったのは、これもまた大きな幸運だったと思っている。
  

「なんのために学ぶのか」という問いに対して、ひとことで答えることはむずかしい。禅問答まがいの言い方をすれば「おのれの愚かさを知るため」だと思うが、それではわけがわからないので、少し例をあげて説明しよう。
 たとえば、千語ぐらいの単語集を全部暗記するためにどのくらい時間がかかるかは個人差があるだろうが、確実に言えるのは、後半の五百語を覚えるのに要する時間は、前半の五百語に要する時間よりずっと少なく、おそらく半分程度ですむということだ。頭のなかにいくらかの蓄積ができると、類推したり比較したりして、効率のよい方法が自然に身につくから、覚えるペースは加速する。最初は忘れて覚えての繰り返しだが、つづけていくうちに要領がわかり、少しずつ楽になっていく。
 そして、一冊をしっかり記憶した経験は、別の単語集や別の科目の何かを覚えようというときにも確実に生きてくる。それは、どんな作業が必要か、どれほど面倒なものかをすでに体得しているからだ。そして、人間はいかに忘れやすい生き物であるか、いかに怠けやすい動物であるかを身をもって知っている。大げさに言えば、自分の愚かさを知っているからこそ、進歩へのスタートを切れるということだ。その一方で、すでにひとつの目標を達成しているから、最後までやりきる自信はあり、成功の喜びも知っている。
 入学試験であれ、資格試験であれ、試験以外の目標に向けてであれ、何かについて学び抜いた経験は、つぎに新しいことを学ぼうとするときにかならず財産になる。その財産は、試験の結果自体とは比較にならないほど大きなものだ。
 

 文芸翻訳の勉強についても、まったく同じことが言える。翻訳の作業では、通常では考えられないほどの深さで調べ物をする必要がある。長くつづければ、自分の知識などたかが知れていることを思い知らされるから、手を抜かずに調べるし、たやすくは結論に飛びつかない。そういう作業に本格的に取り組んだ経験は、文芸翻訳の仕事に就こうと就くまいと、その後の人生のさまざまな局面で確実に役立つはずだ。
 わたし自身は、翻訳の勉強をはじめてから二十年以上になるが、まだまだ知らないこと、わからないことは多く、むしろ増えている気さえする。だが、それこそがおそらく翻訳という仕事のいちばんの魅力であり、つづけていくための原動力なのだろう。
 そして、翻訳書を読む側、翻訳文化を受容する側にとっても、同じことが言えるはずだ。未知のものが無尽蔵にあり、果てしなく湧き出してくることは、翻訳書を読む際の大きな喜びにほかならない。われわれ翻訳者は、そのお手伝いができるよう、日々つとめているので、どうかその成果たる数々の翻訳書を末長く楽しんで、人生の糧としてもらいたい。

2017年2月 5日 (日)

「映画日和、翻訳日和」+日活ロマンポルノ・マイベストテン

 きのう、朝日カルチャーセンター新宿教室で、中田秀夫監督との対談「映画日和、翻訳日和」がおこなわれました。おそらく翻訳に興味のある人と映画に興味のある人が混在する形で、広めの部屋がほぼ満席となり、7割程度が女性でした。来てくださったみなさん、ありがとうございました。 

 中田監督と出会った蓮實映像論ゼミや同人誌《映画日和》(もちろん小津安二郎の〈秋日和〉から採ったもの)の話を皮切りに、中田監督のイギリス留学時代、ハリウッド時代、そして帰国後の話から最新作〈ホワイトリリー〉(2月11日公開)の話まで、いくつかの動画を交えて、盛りだくさんの内容でしたが、用意していた話の半分ぐらいしかできなかったのがちょっと残念です。 

 翻訳者としては、中田監督の唯一の訳書『追放された魂の物語 映画監督ジョセフ・ロージー』のことや、〈ホワイトリリー〉の英語版字幕を担当なさった蔭山歩美さん(参加者として客席にいらっしゃいました)からのお話を聞けたのも大きな収穫でした。 

  〈ホワイトリリー〉のあたりでは、昨年末からの日活ロマンポルノ・リブートの総括や今後の展望の話もしたかったのですが、あまりできなかったのが心残りなので、旧ロマンポルノのマイベストテンのことをもう少しだけ書いておきます。自分は10代の後半からずっと、旧ロマンポルノの作品を浴びるように観て育ち、それがいま湧き出ることばや文章(もちろん翻訳も含めて)の核のひとつだと信じているし、誇りにも思っているからです。

「20170204.pdf」をダウンロード

 上のファイルはきのう配布した資料3枚で、1枚目が中田監督のプロフィールとフィルモグラフィー、2枚目が越前のプロフィールと著訳書リスト、そして3枚目が両者が選んだロマンポルノ10本です。中田監督の10本は、コメントも含めて、昨年出た《映画芸術》457号から転載させてもらいました。

 わたしが選んだ10本は、マイベストテンではありますが、以下の3つの条件で選んでいます。

 (1)1監督1作

 (2)中田監督が選んだ作品と重複しない

 (3)なるべくロマンポルノ初心者向き

【中田秀夫が選ぶロマンポルノ10本】(《映画芸術》457号・2016年夏)
生贄夫人('74 小沼勝)
  『雨月物語』の森雅之のような雰囲気を要求された坂本長利さんに。
発禁本「美人乱舞」より 責める!('77 田中登)
  雪原に長時間吊るされ、田中登を包丁で追いかけた宮下順子さんに。
女地獄 森は濡れた('73 神代辰巳)
  そのアナーキーイズムから、日活に一週間未満で、上映を諦めさせたことに。
天使のはらわた 赤い教室('79 曾根中生)
  水原ゆう紀さんの極上の「白痴美」に。
おんなの細道 濡れた海峡('80 武田一成)
  シビレさせられる挿入歌に。
箱の中の女 処女いけにえ('85 小沼勝)
  逃げた女優を捜索に、横田基地に行った青春の思い出に。
恋人たちは濡れた('73 神代辰巳)
  映写機が止まり、フィルムが萌える場面で、この映画が燃えた文芸地下に。
濡れた荒野を走れ('73 澤田幸弘)
  反ベトナム戦争の思想に。
㊙色情めす市場('74 田中登)
  田中さんの魂に。
闇に抱かれて('82 武田一成)
  アントニオーニふう、イタリア映画の香りに。

【越前敏弥が選ぶロマンポルノ10本】
鏡の中の悦楽('82 西村昭五郎)
狂った果実('81 根岸吉太郎)
ラブホテル('85 相米慎二)
一条さゆり 濡れた欲情('72 神代辰巳)
ピンクサロン 好色五人女('78 田中登)
夢野久作の少女地獄('77 小沼勝)
㊙女郎市場('72 曾根中生)
桃尻娘('78 小原宏裕)
赤いスキャンダル・情事('82 高林陽一)
もっとしなやかに もっとしたたかに('79 藤田敏八)
番外 ドレミファ娘の血は騒ぐ('85 黒沢清)

 わたしが選んだリストについて、少しだけ補足解説をさせてもらいます。

・いちばん上の3作は、いつ選んでもかならず入れる「不動のベスト3」。たいがいベストワンにする「鏡の中の悦楽」についてかつて書いた文章はこれ。日活ロマンポルノ史上最も多くの作品を監督した西村昭五郎と最も多くの脚本を書いた桂千穂のコンビによる最高傑作だと信じています。

・4作目から6作目については、神代・田中・小沼作品のなかで、ロマンポルノをはじめて観る人に適していると考えるものを選びました。神代作品では〈赤線玉の井 ぬけられます〉、田中作品では〈屋根裏の散歩者〉、小沼作品では〈さすらいの恋人 眩暈〉とどちらにするか、最後まで迷いました。〈ピンクサロン 好色五人女〉は、井原西鶴の原作では5つの独立した話に登場する5人を1か所にまとめて話を展開させるという、いどあきお脚本が冴えに冴えた作品で、日本シナリオ史に残る傑作だと思っています。

・7作目と8作目は、はじめて観る人にはコメディからという手もあるので、特に勧めたい2作を。9作目と10作目は、ほかのジャンルで高く評価された監督たちがロマンポルノでもこんな傑作を撮っている、という代表として選んだつもりです。特に〈もっとしなやかに もっとしたたかに〉は、おそらくいまならR-15指定にさえならない、PG12あたりになる気がし、はじめて観る人にとっては非常にハードルの低い作品だと思います。

・最後は、そもそもロマンポルノとして公開されていないということで番外にしてあります。もともとは別のタイトルで買いとり作品として制作されましたが、おそらくエロティックな部分があまりにも少なかったせいで公開できず、その後、再編集して一般映画として公開されました。

 ここにあげられなかった旧作のなかにも、日本映画史に残る秀作はたくさんあり、また、今回のリブート5作は粒ぞろいの佳作ばかりなので、ぜひ機会があったら上映館に足を運んでみてください。

 ※きのうのトークイベント時に参加者のみなさんにお知らせした非公開のスペシャルイベントに参加したいかたは、 office.hyakkei@gmail.com へ20日(月)までにご連絡ください(折り返しお返事します)。現時点で女性2名から参加表明がありました。この件については、親しいご友人などを誘ってくださってもかまいませんが、SNSやブログなどで不特定多数の人に知らせるのは控えてくださるようお願いします。

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