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  • 越前敏弥
    文芸翻訳者。 いまのところ、更新は週1、2回程度です。 ご感想・お問い合わせなどは office.hyakkei@gmail.com へお願いします。
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2016年7月 1日 (金)

第18回イベント報告

 きのう6月30日の夜、柳下恭平さん(校閲専門会社鴎来堂代表&かもめブックス店主)をお招きして、第18回翻訳百景ミニイベントがおこなわれました。今回もおおぜいの皆さん(約140名)が参加してくださり、三つの会議室をぶち抜いた会場が満席になりました。お越しくださった皆さん、告知に協力してくださったみなさん、ありがとうございました。後方の席のかたは机がなくてご不自由をかけてしまい、申しわけありませんでした。 

 われわれ著訳者も含めて、校閲や校正の仕事をなさっている人と直接会う機会はほとんどないので、昨夜は貴重な話をたくさん聞くことができました。柳下さんが具体的な実例をつぎつぎ挙げながら話してくださるため、校閲・校正の仕事を身近に感じることができるようになった、という感想が多かったようです。 

 参加者は翻訳者や学習者だけでなく、校閲・校正の専門家や学習者、さまざまな出版関係者や本好きの人たちなど、多岐に及び、異なった立場のかたからの質問が出たり、濃密な時間を過ごせました。 

 以下にアンケートの回答をいくつか紹介します。

・読者にとってどうすれば読みやすいかを考え、著者や訳者の意図を想像して尊重し、一文字一文字に気をつけてチェックするという、とても緻密さと誠実さを要求する仕事なのだと感銘を受けました。ありがたいです。もっと、ただ間違いを機械的に見つけるのがメインの仕事だと思っていました(すみません)。これからゲラを見るときは、校閲・校正のかたの思いも読みとりたいと思います。面白く貴重なお話をありがとうございました。

・1文字1文字読む、間違いを見つけたら、喜んで油断せずに2文字前にもどり、また1文字ずつ……。まさに職人技だと感心しました。そして、それ以上に柳下さんの言葉の引き出しの多さに驚かされました。校正・校閲の仕事、深いです!

・先日かもめブックスにおじゃまして(とてもすてきなお店でした!)、そのときの印象や校閲というお仕事のイメージから、静かな感じのイベントかな……?と思ってたら、いい意味で予想を裏切られ、とても楽しいイベントで、たくさん笑いました。校閲の仕事は、果てしなく大変そうです……。

・柳下さんが「校正の人」のイメージと(勝手で申し訳ないのですが)だいぶちがったので、なんだか安心しました。あらさがしをする関係上、敵のような気がしていましたが、よいものを作るためのチームなんだという基本を感じました。ありがとうございました。

・翻訳者です。とても参考になる話をありがとうございました。ゲラのやりとりは編集者さんとのキャッチボールという意識でしたが、今後は校正者さんへのコメントも意識して書くようにします。

・私は校正者なので、翻訳書に関する校正の話ももっと聞きたいと思いました。1時間半は長いようで、あっという間に終わってしまった感じでした。踏みこみすぎた指摘で著者にキレられてしまったことがあり、以来指摘することにひるむことが多くなりましたが(それでも必要と思えば勇気を出してエンピツを入れるのですが)、越前さんが「キレる寸前まで踏みこんでほしい」とおっしゃったので、とても嬉しく思いました。

・そうです、校正者だって著訳者にほめられるとうれしいんです! フィードバックしてもらえる機会をもっと作ったほうがいいというお話、うんうんとうなずきました。

 このほか、校閲・校正の仕事がどういうものかの予備知識が少なかったので、話についていくのがきびしかった、翻訳書が出版されるまでの大きな流れから学べる機会があるとありがたい、というご指摘もありました。これについては、先月はじまったわたしの連載記事「出版翻訳あれこれ、これから」がいくらか役立つかもしれません。 

 1時間半の枠のなかでは、すべてを網羅する話をしていただくのはむずかしかったのですが、多くのかたがこれを機に校正・校閲の仕事にもっと興味を持って、今後の仕事や読書そのものにも役立ててくださるようであればうれしいです。より具体的・実践的な話を聞きたいかたは、鴎来堂で各種の講座が開催されているようなので、そちらに参加なさるのもよいと思います。 

 また、校正の作業の基本について手早く知りたいかたには、『校正記号の使い方』(日本エディタースクール編)をお薦めします(実は先週かもめブックスで買いました)。基本用語の意味や作業の流れなどについて簡潔にまとまっています。横書き・欧文の実例も出ています。

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 つぎの翻訳百景ミニイベント(第19回)は、8月18日(木)に、久しぶりに越前の単独トークの形でおこないます。昼の部(14時から15時30分)と夜の部(19時から20時30分)の2回あり、どちらかを選んでください。今回は「『翻訳百景』こぼれ話」と題し、文芸翻訳の世界のあれこれを一般のかた向けにお話しします(7月24日のNHK文化センター京都での特別講座とほぼ同内容になる予定)。くわしい告知は来週おこないますが、参加受付はきょう開始します。お申しこみはいつもの office.hyakkei@gmail.com へお願いします。メールのタイトルか文面のどこかに、「8月18日」(または「第19回」)と昼夜のどちらかをかならず明記してください。

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 第20回は、この記事の下のほうにあるとおり、「ファンタジーを徹底的に語ろう!」第2弾として、10月15日に開催します。7月中旬までに第1弾の採録記事を公開し、そのときに受付をはじめます。しばらくお待ちください。

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