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2016年2月10日 (水)

『翻訳百景』刊行

【2月23日追記 25日の東京トークイベント、26日の大阪トークイベントは、ともに満席となりました。東京はキャンセル待ち、大阪は立見観覧が可能です】

【2月17日追記 25日の東京トークイベント、26日の大阪トークイベントは残席わずかです。参加を希望なさるかたは早めにお申しこみください。】

 角川新書『翻訳百景』が本日刊行されます。これまでこのブログに書いてきた記事やトークイベントで話した内容を土台にして、大幅に加筆したものです。英語表現への言及が少しだけありますが、英語が得意でない人でもじゅうぶんに楽しめる内容にしたつもりです。どうぞご一読くださるよう、よろしくお願いします。

 この本は「翻訳の現場」「『ダ・ヴィンチ・コード』『インフェルノ』翻訳秘話」「翻訳者への道」「翻訳書の愉しみ」の4章から成り立っています。

 第1章「翻訳の現場」では、文芸翻訳の仕事のアウトラインを示しながら、いっしょに仕事をした優秀な編集者たちのこと(手書きメモのはいったゲラの実物などを数ページ載せています)、翻訳書のタイトルのつけ方、日ごろの仕事で心がけていることなどを紹介しています。

 第2章「『ダ・ヴィンチ・コード』『インフェルノ』翻訳秘話」では、ダン・ブラウンの諸作にどのように取り組んできたかを中心として、訳語選びや調査にまつわるこぼれ話などをまとめて書きました。パロディ本 The Da Vinci Cod の話も最後に少し載せてあります。

 第3章「翻訳者への道」には、修業時代のことや、学ぶこと全般についていま考えていることをまとめました。

 第4章「翻訳書の愉しみ」では、翻訳書を少しでも多くの人たちに読んでもらうためにこの何年かかけて取り組んできた活動について、くわしく書きました。全国翻訳ミステリー読書会、読書探偵作文コンクール、さらには去年の「ことばの魔術師 翻訳家・東江一紀の世界」のことなどを紹介しています。また、『思い出のマーニー』のときにおこなった短期間での共同作業についても、具体的な分担の表やメモの実物を載せて説明しています。

 どんな思いでこの本を準備したかについては、まえがきとあとがきにくわしく書きました。ここでは、まえがきの一部をそのまま紹介します。

  本の魅力や読みどころを的確に伝えるのはむずかしいし、自分には書評家の人たちほどの周辺知識や紹介術があるわけでもない。ただ、翻訳者としてそれぞれの作品に全力でかかわり、一冊について何か月にもわたる地味な作業をつづけるなかで、日本じゅうのだれよりも(ひょっとしたら世界じゅうのだれよりも)その作品に精通した者として、独自の切り口で作品の魅力を紹介することは可能だと思う。さいわい、自分にはミステリーや児童書の訳書だけでなく、語学学習や翻訳技術を扱った著書もあるため、翻訳書の読者のほか、漠然と語学や翻訳に興味のある人などもずいぶん多くブログを見てくれているようだ。そんな人たちに、完成品としての翻訳書のおもしろさだけでなく、翻訳の仕事そのものや語学がらみの話題も同時に伝えていき、いろいろな角度から関心を持ってもらうのが自分にはいちばん向いていると考え、いまはそんな立場でときどき記事を書いている。
 カルチャーセンターや書店などでの講演も、みずから主催する形で数か月に一度ゲストを呼んで話を聞く翻訳百景ミニイベント(本書が刊行されるまでに十五回開催)も、すべて同じ考えでおこなっている。この本で紹介する全国翻訳ミステリー読書会や読書探偵作文コンクールも含めて、これらは自分にとって翻訳の仕事そのものと同じくらい愛着があり、すでに生活の一部になっていると言ってもよいほどだ。
 本書は、ブログ「翻訳百景」にこれまでに書いた記事や、各種のイベントで話したことなどを土台とし、それに大幅に加筆して再構成したものである。ところどころで英文の実例や、それに対応する訳文が生まれる過程なども紹介するので、それらを通して、翻訳の仕事の現場を具体的に知ってもらいたい。
 これを読んだ人が多少とも翻訳の仕事に興味を持ち、わたしにかぎらず、翻訳者たちが丹精をこめて生み出した本を一冊でも多く手にとってくださることを祈っている。

 何度かお知らせしたとおり、この『翻訳百景』と『インフェルノ』文庫版(25日発売)の刊行を記念して、3日連続でトークイベント&サイン会(すべて参加費無料)をおこないます。両書をすでに読んでいても未読でもじゅうぶんに楽しめる内容のものなので、ぜひお誘い合わせのうえお越しください。

 2月25日(木)の第16回翻訳百景ミニイベント(表参道・東京ウィメンズプラザ)は、(株)KADOKAWA 文芸・ノンフィクション局局長の郡司聡さんをお招きしての対談形式でおこないます。郡司さんは長く翻訳書の編集者として活躍された人で、ダン・ブラウンの版権を角川書店が取得したときの総責任者でもあります。当日は、『翻訳百景』の話、ダン・ブラウンの話だけでなく、翻訳出版の現在や未来についてもいっしょにお話しできたらと考えています。現在、約80名のかたがお申しこみになっていますが、まだお席を用意できます。参加をご希望のかたは、この記事をご確認のうえ、早めにお申しこみください。

 翌26日(金)には、紀伊國屋書店グランフロント大阪店でトークイベントを開催します。こちらはおそらく角川新書の編集者が聞き手になって進める形になりますが、トークの内容は前日の東京と似たものになります。詳細については、この告知記事をご覧のうえ、紀伊國屋書店グランフロント大阪店へ直接お申しこみください(無料ですが、整理券が必要になります)。

 さらに、その翌日の27日(土)には、京都のイベントスペース amu KYOTO でトークイベントをすることになりました。案内記事はこちらです。この日は翻訳ミステリー京都読書会の世話人のかたが聞き手となり、半分ぐらいの時間はプロジェクターを使った解説(以前朝日カルチャーセンターや大塚国際美術館でおこなった講演「ダン・ブラウン翻訳秘話」に近い内容)なので、25日の東京、26日の大阪とはほぼ別内容です。

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