プロフィール

  • 越前敏弥
    文芸翻訳者。 いまのところ、更新は週1、2回程度です。 ご感想・お問い合わせなどは office.hyakkei@gmail.com へお願いします。
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2014年10月

2014年10月29日 (水)

INFORMATION 2014-10-29

 銀座の数多くの名店で配布されている小雑誌《銀座百点》11月号にエッセイを寄稿しました。翻訳ミステリー全国読書会について書いています。目にする機会があったら読んでみてください。

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 朝日カルチャーセンター(東京・大阪)の「英米小説の翻訳」1月期の課題図書が決まりました。東京は以下の3冊すべて、大阪は少なくとも1冊を読んだうえで参加してください。 

・『Xの悲劇』(エラリー・クイーン著、越前敏弥訳、角川文庫)
・『新編 戦後翻訳風雲録』(宮田昇著、みすず書房)
  [『戦後「翻訳」風雲録―翻訳者が神々だった時代』(本の雑誌社)でも可]

・『プレシャス』(サファイア著、東江一紀訳、河出文庫)
  [『プッシュ』(河出書房新社)でも可]

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 11月20日(木)の第11回翻訳百景ミニイベント(ゲスト: ヘレンハルメ美穂さん)は、6割程度のお席が埋まっています。お申しこみの詳細については、こちらをご覧ください。前回イベントのアンケートの回答もいくつか紹介しています。 

 この日は、北欧の作品の魅力のほか、仕事をはじめたきっかけや、その後どのような形で仕事を引き受け、進めてきたかなどを中心にお話をうかがう予定です。英語の翻訳に興味がある人にとっても、役に立つ話をたくさん聞けると思います。 

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 11月23日(日)に開催される第15回せんだい探偵小説お茶会(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援第6回仙台読書会)は、残席わずかとなっています。 

 この日は、エラリー・クイーンのドルリー・レーン4部作(『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』『レーン最後の事件』)を課題書として扱います。また、来年予定しているトーク「エラリー・クイーン翻訳秘話」(仮題)の内容の一部を、東京と大阪に先立ってお話しする予定です。 

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 11月27日(木)の午後7時から、朝日カルチャーセンター新宿教室で、特別講演「新訳『思い出のマーニー』翻訳秘話」があります。先日大阪で開催したものとほぼ同内容です。 

 前半は、仕事を引き受けてからその後の協力作業をどのようにおこなってきたかを中心に、後半は、作中のいくつかの表現の研究や関連書・類似書の紹介を中心にお話しします。中学生程度の英語の知識があればじゅうぶんです。『思い出のマーニー』の作品そのものにほとんど興味がない人にとっても、かなりおもしろい内容なので、気軽にお越しください。お申しこみはこちらからお願いします。 

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 文芸翻訳初心者用のPDFファイル「文芸翻訳入門」のダウンロードページへのリンクを、右側の「リンク」の欄に追加しました。

2014年10月23日 (木)

INFORMATION 2014-10-23

 角川文庫のエラリー・クイーン国名シリーズ第7弾『シャム双子の秘密』が、今週末に刊行されます。『ギリシャ棺の秘密』と同じく、北田絵里子さんとの共訳です。

 このあと、年が明けたら『チャイナ~』『スペイン~』『中途~』の順に刊行される予定です。

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 読書探偵作文コンクールの1次選考結果が発表されました。こちらをご覧ください。 

 今回は過去最高の155人からの応募がありました。告知にご協力くださったみなさん、ありがとうございます。最終選考結果は11月上旬に発表されます。 

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 11月23日(日)に開催される第15回せんだい探偵小説お茶会(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援第6回仙台読書会)では、エラリー・クイーンのドルリー・レーン4部作(『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』『レーン最後の事件』)を課題書として扱います。わたしも参加します。 

 また、この日は、来年予定しているトーク「エラリー・クイーン翻訳秘話」(仮題)の内容の一部を、東京と大阪に先立ってお話ししようと考えています。4部作全部の読書会というのは、なかなかない機会なので、お近くのかたはこの機会にぜひお越しください。 

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 今週末の朝日カルチャーセンター大阪中之島教室の講座では、「英米小説の翻訳」は予習教材の関係でいまからのお申しこみはむずかしいのですが、「文芸翻訳のツボ」は予習不要なので、いまからでも可能です。内容の詳細についてはこの記事を見てください。紀伊國屋書店グランフロント大阪店の「新訳『思い出のマーニー』翻訳秘話」も、まだ受付中です。 

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 11月20日(木)の第11回翻訳百景ミニイベント(ゲスト: ヘレンハルメ美穂さん)は、半数のお席が埋まっています。北欧の作品の魅力のほか、仕事をはじめたきっかけや、その後どのような形で仕事を引き受け、進めてきたかなどを、翻訳会社の担当者のかたからもお話をうかがう予定です。英語の翻訳に興味がある人にとっても、役に立つ話をたくさんうかがえると思います。

 お申しこみの詳細については、こちらをご覧ください。前回イベントのアンケートの回答もいくつか紹介しています。

2014年10月17日 (金)

第11回イベント内容&第10回イベント感想

 すでに告知したとおり、第11回翻訳百景ミニイベントは以下の内容でおこないます。お申しこみの受付はすでにはじまっていて、現時点で半数近くのお席が埋まっています。

 日時  2014年11月20日(木)午後7時から8時45分 

 会場  表参道駅近くのセミナールーム(詳細は申込者に直接メールでお知らせします) 

 参加費  1,500円 

 ゲスト  ヘレンハルメ美穂さん

 今回は、申しこみのメールにゲストへの質問を書いていただくようお願いしたところ、すでにかなり集まっています。当日の進行の参考にしたいので、今後申しこまれるかたも、よかったら何か書いてください(もちろん、何もなしでもかまいません)。

 現時点では、翻訳の仕事をはじめたいきさつや、その後の印象深いエピソード、スウェーデン語から翻訳する際の苦労話、お薦めの作品とその理由、これからの目標などを、対談の形で幅広くうかがっていく予定です。ヘレンハルメさんと長く協力関係にある翻訳会社の担当者のかたもお招きしていて、半分ぐらいの時間はいっしょに話をしていただくことになっています。

 お申しこみのメールは office.hyakkei@gmail.com 宛にお願いします。その際、本名または著訳書のペンネーム(ハンドルのみは不可)、当日連絡のつきやすい電話番号または携帯メールアドレス(PCと同じアドレスの場合はその旨)をかならず書いてください。

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 先日おこなった第10回翻訳百景ミニイベントには、これまででいちばん多く、翻訳者や翻訳学習者以外のかたが参加してくださいました。

 アンケートの回答のなかから、そういった一般参加者のみなさんの声をいくつか紹介します(趣旨が変わらない程度に短縮したものもあります)。

・「誤読」「悪訳」のインタビュー部分にとても感銘を受けまして、いつかトークイベントがあれば伺いたいと思っておりました。東京でも開催してくださってありがとうございます。プロフェッショナルとしての心構え矜持を、しっかりと持ち続けて行きたいなあと改めて思います。
 英語ならではの意地悪な言い回しや、カーキ色のお話がとても興味深かったです。
「リベンジ篇」とあわせて「誤訳」も再読してみましたら、昨年よりも楽しく理解できるようになっていたので、独学でもわずかながら進歩が感じられて嬉しく思いました。
 

・一般学習者でも充分に、充分すぎる時間でした。参加させていただいてありがとうございました。 

 読書会も参加してみようという気になりました。ミステリーも少しよんで好きな作家も探せたらいいなと思いました。 

・優秀な方がたくさん来られてて、さらに良い訳を提案してくださるフレンドリーな雰囲気がいい。 

・今回も大変勉強になりました。日本文学を外国語に訳している方のお話も聞きたいです。 

・初めての参加でしたが、楽しかったです。趣味でやっているだけですが、もっと専門書を読んでみたいと思いました。児童書関係のトークをしてほしいです。 

・いちばん印象に残ったのは、あるいは納得もいたしましたのは、「違和感」ということばでした。私は校閲者ですが、翻訳書のゲラを読む際、実はその「違和感」を武器にして読んでいたのかと、先生のご説明を聞き初めて思い当たりました。その感覚が大切だということも実感できました。そして違和感を磨くためにも、翻訳と日本語を一から(初心に立ち戻って)勉強したいと思います。
 多くは限られた時間の中で翻訳をされている方たち、そして翻訳作品を、縁の下から少しでも支えられたらという願いを新たにもしています。しっかりと訳された翻訳書が読めるのは、最高の喜びだと思いますので。

 先日は、かなり遠方の高校生のかたから今後のイベントについてお問い合わせがあり、大変うれしく思いました。もちろん、高校生でも参加できます。少しでも語学や翻訳書に興味がある人にとって、有意義で楽しめる内容のものにしたいと思っているので、どなたでも気軽にご参加ください。

2014年10月 9日 (木)

地の文が現在形である場合

 10年ほど前、わたしが主催する出版翻訳者用のクローズド掲示版があり、そこに40人ぐらいの翻訳者(一部、編集者や書評家)が参加していました。あまり頻繁に発言があったわけではありませんが、同業者の集まる場だからこそ、興味深い翻訳談義になることもしばしばあったものです。

 mixiやほかのSNSが広く使われるようになったこともあって、この掲示版は3年程度で閉鎖となりましたが、いま読み返してみると、資料価値のありそうなスレッドがいくつかあります。そこで、その一部を公開することにしました。原則として、越前以外の発言者は名前を伏せてあります(発言者が特定されそうな作品名も)。また、リンク切れなどの関係で、省略や最低限の加筆をした個所もあります。

 以下は、2006年10月におこなわれた、10人余りの翻訳者による「小説の地の文が現在形である場合」についてのやりとりです。9年前のことなので、それ以降の作品に関する言及はありませんが、いまでもじゅうぶん参考になるので、興味のあるかたは読んでみてください。

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【越前】
 ゆえあって、全編を通して現在形で語られる小説の例を探しています。もちろん、回想の場面などで過去形になるのはかまいません。いますぐ思いつくのは
        ドン・ウィンズロウ『ボビーZの気怠く優雅な人生』
        ボストン・テラン『神は銃弾』
        ウィリアム・トレヴァー "Death in Summer"(未訳)
  ぐらいです。なるべくたくさん集めたいので、ほかに知っているかた、教えてください。ジャンルや知名度は問いません。

 

【A】
 デイビッド・ローゼンフェルトの『悪徳警官はくたばらない』がほぼ全編現在形です(ちょうど資料として参考にさせていただいていたところだったので原書でも確認ずみです)。シリーズ1作目の『弁護士は奇策で勝負する』はいますぐ確認はできないのですが同じく現在形だったはずです。ほかに思い出したらまた書きます。

 

【B】
  ジュンパ・ラヒリの『その名にちなんで』は、回想シーン以外、ほぼ現在形で語られています。あと、手元にはないのですが、バリー・ユアグローの短編集も現在形だったような。『憑かれた旅人』と『一人の男が飛行機から飛び降りる』を読んだことがあります。

 

【C】
 主に1980年代に活躍した「ミニマリスト」と呼ばれるアメリカ人作家は、ほとんどが現在形で書いています。Ann Beattie、Bobie Ann Mason、Jayne Ann Phillips、Raymond Carver、Frederick Barthelme、Minotなどが代表です。現在形で語られる小説・短編は、この人たちがはじめたとされます。どこかの大学の創作科とつながりが深いとか。
『ニューヨーカー』で短編を発表している人も多いので、THE COMPLETE NEW YORKERをおもちでしたら、ごろごろ出てきます。最近では『ニューヨーカー』に載っている短編の多くが現在形で語られていると思います。

 

【越前】
 みなさん、ありがとうございます。
  Cさんのその話、以前どこかで聞いた覚えがある。
 そうそう、スコット・トゥローもそうだった。
 ほかにも思いつく人、教えてください。 

 

【D】
  同じミニマリスト、ジェイ・マキナニーのBright Lights, Big Cityは二人称現在形?

 

【E】
  いま、本がどこにあるかわからなくて、確認できませんが、
  ↑マキナニーの『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』はたしかそうです。
  あと、オースター『幽霊たち』も全編現在形だったような。

 

【F】
  手元にないので確証はないですが、現在形の短編(→『●●●』の一編)を訳すにあたり●●●さんに相談したところ、『悪童日誌』は原文も日本語訳も現在形だよ、と教えられた気がします。(っていうかぁ、そう教えてくれたのは、越前さんじゃないですよね? 記憶混濁)あと、もう一つ、同作品内に現在形の短編があった(訳文は現在形でなくしたらしい)と聞いてます。
 あと知名度のないところで、
「The Ring of Brightest Angels Around Heaven: A Novella and Stories」by Rick Moody
  頭の部分しか読んでないですが、すくなくとも最初のストーリーは現在形だったと思います。

 

【G】(編集者)
>『悪童日誌』
 もしかしてもしかして『悪童日記』だとしたら原文は仏語ですね。
 現在形の小説の編集をしたことはありますが、現在形で通すとあまりにも不自然で、いろいろとなおしてもらったような記憶が・・・(作品名が思い出せなくてごめん)。
  納得できる仕上がりにするのはむずかしい作業ですよね。できあがったら読ませてね~。

 

【H】
  ミッシェル・フェイバーの短編集〝The Fahrenheit Twins〟には、いくつか現在形の短編が入っています。
  一冊目の短編集にもあったような気がするのですが、ごめんなさい、本が見つかりません。

 

【I】
 スティーヴ・マルティニの『情況証拠』が全編現在形だったと思います。シリーズもので、このあと、『重要証人』『依頼なき弁護』『裁かれる判事』とつづきますが、2作目以降は読んでいないのでわかりません……。
 それから、グレッグ・アイルズの『戦慄の眠り』の原書、 "DEAD SLEEP" は全編が現在形です。翻訳ではあえてそれを無視していますが。

 

【越前】
 みなさん、ありがとうございました。エンタテインメントでもこんなに多いというのはちょっと驚きです。
 最近出た拙訳書も全編一人称の現在形だったのですが、やはり訳していてほんとうにこの処理でよいのかどうか、最後まで迷いました。英語の場合はたいてい動詞が文の前半に来るけれど、日本語はほとんど文末に来るので、単に現在形を現在形のまま訳しても同じ効果は得られないのではないか、という疑問をかかえたままやっていたわけです。
   訳文の文末にやたらと「る」が多くなるわけで、うまく流れているときは韻を踏むように感じられるけど、乗らないときはひどく単調に感じられる。過去形が基調になっている小説では、主語を省略した現在形の文を差しはさむことで、自然と変化がつくわけだけど、今回はふだん使っている技の半分ぐらいを封じられたような窮屈な感じを覚えていました。一人称小説だからどうにか押しきったけれど、三人称だとお手あげだったかも。
  そう言えば、ジェフリー・ディーヴァーの『死の教訓』(三人称多視点)をやったときも、ある人物の視点で書かれているパートだけが現在形だったけれど、作者の意図がよくわからなかったのと、そこだけ日本語の現在形にしても無意味に浮くだけだと思ったので、無視しました(全編を通して10ページぶんぐらいだったと思う)。でも、どこでそういった線引きをするのか、訳者の独断でやっていいのかということは、いまも迷いつづけています。

 

【C】
  大学のときの先生がそこらへんを研究して学会に発表したことがあるとかで、ぼくもちょこっと教わりました。
 それで、その大学の先生によると、ジャーナリズムと映画(脚本?)の影響が大きいのではないかとのことでした。キャラクターの個性ではなく、ストーリーの設定で読ませることが多いアメリカの小説では、脚本的ないいまわしでもさほど違和感は感じられないし、ふつうの会話でも、最初のほうは過去形なのに、興が乗ってくると自然に現在形を使って話を進める事例が多く見られるそうです。
  地の文で過去形が数ヶ所だけ使われていた作品では、はっきりと作者の意図が感じられ、おそらく「歴史的現在」(historical present)の裏返しの意味合いで使っているのだろうとのことでした。
 ぼくも現在形で語られる作品をふたつ訳しましたが、そういった作者の意図は感じられませんでした。過去形が現在形になっていただけだったので、ふつうに過去形で訳しました。
  ただ、今後、そういう時制を使った「トリック」が込められている作品を訳す場合には、基本的に過去形を使って訳し、「歴史的現在」の裏返しで使われていると思われる原文の過去形だけを現在形で訳そうとは思っています。

 

【J】
 遅ればせながら……。
 ウィンズロウだと、『カリフォルニアの炎』も現在形です。
 フランス1950年代の“前衛的な”小説、いわゆるヌーヴォー・ロマンにも、現在形で書かれたものが多いようです。手もとにあるものだと、ミュシェル・ビュトール『心変わり』、マンディアルグ『オートバイ』、デュラス『夏の夜の10時半』など。『夏の夜の10時半』は、現在形が生きた美しい小説だと思います。日本の小説ですが、村上春樹の『アフターダーク』は、視点と現在形をうまくとりこんだ実験小説だと思って読みました。
 わたしも現在形にはご縁があります。デビュー作だった『●●●』は現在形が基調。『●●●』も、第2部からは現在形と過去形が章ごとに入れ替わります。同じ著者で今月末刊行の『●●●』、原著は現在形でしたが、過去形で訳しました。回想に変わる箇所を原文よりもややくっきりと訳しましたが、あとはわりとすんなりといきました。原著の時制に逆らったのは、はじめて。わたしとしては、原著の時制にはなるべく添いたいたいとは思うのですが、この小説の場合、過去形にしてストーリーテリングに徹したほうがおもしろくなるはずと判断したのです。ううん、どうなのかな。なんとなくあとに引きずるのですが。  

 

【F】
>Gさん
>『悪童日誌』 もしかしてもしかして『悪童日記』だとしたら原文は仏語ですね。
 そうです! ご指摘ありがとうございます。なぜか、いつも『日誌』と言ってしまうんです。
  ちなみにわたしの現在形短編は、年末に出版された『●●●』のなかの「●●●」という短編ですが、いまパラパラ見てみると、他にもS・キングの作品をはじめ、けっこう現在形のものがありました。
 あと、日本人の作家では古川日出男が、現在形を使いこなしますね。新作の『サウンドトラック』でも、平均して八割ほどは現在形の語尾に見えます。『神は銃弾』を硬質にして叩き割ったような印象の文です。

 

【K】
 僭越ながら、十一月末刊行予定の拙訳書も現在形です。"●●●"というサスペンス風ヤングアダルト小説で、基調は現在形、回想は過去形です。内容は重めでも全体の調子は軽め、というこの作品の雰囲気に現在形がひと役かっているので、最初に原書に目をとおしたとき、原文のままの時制で訳そうと決めました。何箇所か無視したところはありますが。
 現在形で訳すのはとてもとても楽しかったのですが、訳しているときにやはりみょうな緊張感を持っていたようで、過去形のところに出るとほっとしました。

2014年10月 3日 (金)

INFORMATION 2014-10-03

 10月24日(金)の夜7時から8時30分まで、紀伊國屋グランフロント大阪店の主催でトークショー「『思い出のマーニー』翻訳秘話」をおこないます。お申しこみの詳細についてはこちらをご覧ください。 

 仕事を引き受けてから訳稿完成にいたるまで、短期間での共同作業をどうこなしたかや、作中のキーワードとなるいくつかの表現の訳出についてや、映画公開後の反応など、翻訳や語学に少しでも興味がある人なら楽しめる内容にするつもりです。訳書を読んでいないかた、映画を観ていないかたでも、もちろん参加できます。 

 東京では、11月27日(木)の夜7時から、ほぼ同じ内容の話を朝日カルチャーセンター新宿教室でします。そちらの受付もはじまっています。詳細についてはここを見てください。 

 どちらの会場でも終了後にQ&Aとサイン会をおこない、大阪では関連書の販売もあります。 

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 6月に逝去なさった東江一紀さんの遺作『ストーナー』(ジョン・ウィリアムズ著、東江一紀訳、布施由紀子編集協力、作品社)が刊行されました。 

 亡くなる前日に刊行された『黄泉の河にて』(ピーター・マシーセン著、東江一紀訳、作品社)と合わせて、ぜひご一読ください。

 

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 11月20日(木)の第11回翻訳百景ミニイベント(ゲスト: ヘレンハルメ美穂さん)は、現時点で4割程度のお席が埋まっています。内容とお申しこみの詳細については、この記事をご覧ください。 

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 10月期の朝日カルチャーセンター新宿教室の講座は、あす4日(土)に開講します。 

「英米小説の翻訳」は予習が必要なので、いまからの申しこみはできませんが、「文芸翻訳のツボ」は予習不要の1回きりの入門クラスなので、どなたでも受講できます。興味のあるかたは、いまからでも電話でお問い合わせください。

 大阪・中之島教室の講座は今月の25日(土)にあり、まだ受付中です。詳細については、こちらの記事をご覧ください。

 

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