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  • 越前敏弥
    文芸翻訳者。 いまのところ、更新は週1、2回程度です。 ご感想・お問い合わせなどは office.hyakkei@gmail.com へお願いします。
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2014年5月30日 (金)

第9回ミニイベントの報告

 昨夜、河野万里子さんをゲストにお迎えしての第9回ミニイベントがおこなわれました。英仏両語の翻訳者としての長年の経験に基づいた体験談が聞けるということで、わたし自身も楽しみにいていましたが、こちらの期待を上まわる充実した内容の2時間だったと思います。

 英仏それぞれの翻訳の仕事をするようになったいきさつや、サン・テクジュベリの生涯にまつわるエピソードなども、ふだんなかなか聞けない話で、興味深かったのですが、圧巻だったのは、『星の王子さま』の新訳において、いくつかの具体例をあげたうえで、なぜその訳語を選んだのか、なぜその訳語を選ばなくてはならないのかという話になったときでした。どの例をとっても、非常に明快なご説明であったばかりか、作品に対する並々ならぬ愛情が感じられたという意見が、アンケートにいくつも載っていました。わたし自身も同感です。

 印象的だったのは、河野さんご自身はがそれを「一言入魂」ということばで表現なさっていたことです。翻訳者や学習者にとってはもちろんのこと、一般の読者のかたにとっても大変有意義な時間となったと思います。

 きのうの最後にわたしからお話ししましたが、『日本人なら必ず悪訳する英文』の第1部10番の問題に登場する「女性の同業者」というのは、実は河野さんです。お持ちのかたはぜひ見ていただきたいのですが、ひとつの単語に対してわたしとまったくちがう角度、ちがう視点から解釈なさった例を紹介してあります。どちらが正解ということではなく、小説の翻訳という作業が持つ楽しさや豊かさを知ってもらう好例です。そのときも、ひとつひとつのことばをとても大切になさるかただと思いましたが、ゆうべもあらためてそう感じました。自分にとっても参考になる話を多く聞けて、感謝しています。

 また、河野さんの訳書を何冊も担当なさった新潮社の小林加津子さんからも貴重な裏話をいくつもうかがうことができ、そちらも楽しい時間となりました。お二方、どうもありがとうございました。

 次回の翻訳百景ミニイベント(第10回)は9月25日(木)に開催する予定です。内容やゲストは未定で、決まりしだいお知らせします。

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