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  • 越前敏弥
    文芸翻訳者。 いまのところ、更新は週1、2回程度です。 ご感想・お問い合わせなどは office.hyakkei@gmail.com へお願いします。
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2013年10月

2013年10月28日 (月)

第7回ミニイベントの報告

 去る10月24日、久しぶりの翻訳百景ミニイベント(第7回)がおこなわれました。今回ははじめてゲストなしでの開催でしたが、50人程度のかたが集まってくれてほぼ満席となりました。お越しくださったみなさん、ありがとうございます。新規参加のかたもずいぶんいらっしゃったようです。

 つぎの著書の準備を進めていることもあり、今回は最近の翻訳作業や各クラスの教材で見つけた「誤訳しやすい例文」の紹介が中心となりました。古典新訳や『インフェルノ』、The Da Vinci Codsix words など、身近な実例をあげての解説だったため、興味を持って聞いてくださったかたが多かったようです。

 そのなかでもお話ししましたが、誤訳が多い3大文法項目は「否定」「冠詞・単数・複数」「and や or で何と何が並ぶか」。これは『日本人なら必ず誤訳する英文』を書いたときからずっと感じていることです。どれも中学1年で学ぶ基本項目でありながら、誤読したときに大きく意味が変わってしまうことを、今回も再確認したしだいです。

 後半は、いつもより多めにQ&Aの時間をとったため、参加者のなかで実務や映像の仕事をなさっているかたにも回答していただきながら進めていきました。ちがった角度からのご意見をいくつも聞けて、大変参考になったと思います。

 休憩時間には、以前この記事で予告したとおり、"死語アンケート part 2" をおこないました。アンケートの要領についてはこちらを参考にしてください。

 今回の30語はこちらです。

(1) ジーパン
(2) ズボン
(3) ズボン下
(4) パンティ
(5) 運動靴
(6) えもんかけ
(7) 魔法瓶
(8) 小間物
(9) 帳面
(10) 緋色
(11) だいだい色
(12) 恋文
(13) 怪奇小説
(14) 流感
(15) 舶来
(16) 醜聞
(17) 好色
(18) 好事家
(19) 伊達男
(20) 強心臓
(21) ぼけなす
(22) こしらえる
(23) なんてこった
(24) とどのつまり
(25) ウーマン・リブ
(26) チョイス
(27) アベック
(28) ベッドイン
(29) ナイスだ
(30) ホモ

 今回の参加者50人ぐらいのデータに、以前集めたものを加え、130人からご回答いただいた結果を点数順にならべたものはこちらです。古びていると感じた人が多い順に並べてあります。

「obsoletism2.pdf」をダウンロード

 今回も念のため追記しますが、このアンケートの目的は、どの語がどんなふうに受け止められているかを知ることであり、古いものを切り捨てようということではありません。状況や文脈によっては使うべき場合もあります。ただ、ことばに携わる者として、こういうデータは、自分自身の語感と世間とのずれを客観的に知る一助となるのはまちがいないと思います。

 誤訳しがちな例文を紹介するイベントは、また実例が集まってきたら開催したいと思います。

 次回(第8回)の翻訳百景ミニイベントは、2014年1月23日(木)に開催します。ゲストは、出版翻訳だけでなく、独特のスタンスで著作活動をつづけていらっしゃる田内志文さん。最近刊行なさった『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』のこと(くわしくはこの記事を参照してください)や、持ちこみ企画の実現などについてうかがう予定ですが、進行のしかたはこれから考えます。詳細は12月になってからお知らせします。

2013年10月15日 (火)

『シートン動物記 サンドヒルの雄ジカ ほか』について

 角川つばさ文庫から『シートン動物記 サンドヒルの雄ジカ ほか』が刊行されました。昨年末に出た『シートン動物記 オオカミ王ロボ ほか』につづく第2弾です。

Photo

 おかげさまで、前作は売れ行きが好調で、すでに3刷まで行っています。今回は表題作の「サンドヒルの雄ジカ」のほか、「小さな軍馬 あるジャックウサギの物語」「マガモ親子の陸の旅」「スプリングフィールドのキツネ」の4編が収録されています。

 去年の記事にも書いたとおり、シートンによる原書は大人向けに書かれているため、それをどこまで噛み砕くかがむずかしいところですが、去年さんざん苦労して何度もリライトした経験があったので、今回はだいぶ匙加減がわかってきた気がします。脳のなかの日ごろは使わない部分をフル回転させるので、よい刺激になります。読書探偵コンクール(1次選考の結果はこちら)に長くかかわってきたこともあり、これからもこういう仕事を年にいくつかつづけて行けたらと思っています。

 今回の4作は、前回の4作よりもやや知名度が低いかもしれませんが、おもしろさや読後にあれこれ考えさせられるという点では前作をしのぐと思います。特に、「スプリングフィールドのキツネ」は「オオカミ王ロボ」に並ぶほどの衝撃的な結末が用意されていて、これについては賛否両論があります。そのため、他社のシートン動物記のシリーズでは収録されていない場合が多いのですが、今回はぜひこれを親子で読んで話し合ってもらいたいという思いもこめて選びました。

 また、動物の世界を活写しているだけでなく、動物と深くかかわる人間たちの成長や苦悩がしっかり書きこまれているという点でも、今回の作品群は特にお薦めです。小学校中学年が対象ですが、総ルビなので本好きの子なら低学年から読めます。また、大人にとってもじゅうぶんに読み応えのある作品ばかりなので、ぜひご一読ください。

 角川つばさ文庫の『シートン動物記 サンドヒルの雄ジカ ほか』のページはこちらです。

2013年10月 8日 (火)

INFORMATION 2013-10-08

 翻訳書を読んで自由な形式で文章を書く読書探偵作文コンクール(小学生対象)は、先日応募を締め切らせていただきました。応募総数は120通余りで、過去最高の数となりました。ご協力くださったみなさん、ありがとうございます。

 1次選考の結果は今月下旬、最終選考の結果は11月上旬にサイトに掲載されます。

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 10月24日の第7回翻訳百景ミニイベントは、残席わずかとなりました。参加をお考えのかたは早めにお申しこみください。

【10月19日追記】おかげさまで満席となりました。キャンセル待ちの形でお受けしています。

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 10月26日の朝日カルチャー中之島教室の「文芸翻訳のツボ」と「英米小説の翻訳」は引きつづき申しこみを受付中です。11月23日の新宿教室の「『日本人なら必ず誤訳する英文』実践講座」は、現時点で半数以上のお席が埋まりました。内容の詳細についてはこちらをご覧ください。

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 ダン・ブラウン『インフェルノ』(11月28日発売)の日本版公式サイトができ、予約受付がはじまっています。抽選でイタリア旅行や図書カードがあたるクイズも実施中です。

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2013年10月 1日 (火)

死語の世界

 5年ほど前、いくつかの講演会で「死語の世界」というちょっとした余興をおこなったことがあります。いまの時代に使うのがちょっとためらわれるかもしれないことばを30個選び、それぞれについて、自分が死語だと思うかどうかをアンケートに答えてもらうというものです。アンケートは事前に実施し、死語と見なす人が多いほうから順に、1位から30位までを当日に発表しました。

 もちろん、ことばの受け止め方は人それぞれですから、死語をたくさん使っている人がいたとしても、そのことをとやかく言うつもりはありません。ただ、ことばを扱う仕事に携わる者としては、どの程度の人がその語を古いと思っているかを知っておくのも悪くないでしょう。

 最終的に、講演会でこのアンケートに答えてくれた人は350人ほどいらっしゃいました。内訳は、翻訳学校の生徒約70人、文学部の大学生約150人、中央官庁におつとめのかた約100人、中学・高校の先生約30人程度だったと思います。性別は半々か、やや女性のほうが多いぐらいです。

 そのときの30語は以下のとおりです。

(1)  背広
(2)  雨合羽
(3)  襟巻き
(4)  首飾り
(5)  チョッキ
(6)  シュミーズ
(7)  コールテン
(8)  便所
(9)  台所
(10) 鏡台
(11) ちり紙
(12) 乳母車
(13) 郵便受け
(14) 月賦
(15) 目方
(16) ねずみ色
(17) 行楽地
(18) 別嬪
(19) 美男子
(20) クーラー (「エアコン」の意)
(21) ステレオ (「オーディオ機器」の意)
(22) フランスパン
(23) 大リーグ
(24) よしんば
(25) いましがた
(26) すこぶる
(27) いかす (「かっこいい」の意)
(28) オーバーだ
(29) アバウトな
(30) セーフ・アウト (野球以外で)

 回答は、各語について「○――ぜったい死語!」「△――状況による」「×――生きていると思う」の3つのうちのどれかにマークする形で提出してもらいました。

 みなさんも、よかったらまず○△×で答えてみてください。そして、どの語の死語認定率がいちばん高かったか、いちばん低かったかなどを予想するとおもしろいかもしれません。

 実は、死語と見なされた率が断トツで1位の語があります。どれだと思いますか?

 結果はこちらです。予想はあたりましたか?

  「obsoletism1.pdf」をダウンロード

 10月24日の第7回翻訳百景ミニイベントでは、参加者全員のかたに、これとは別の30問に答えていただき、後日このブログに結果を載せる予定です。

【10月3日追記】

 念のため書きますが、この記事の目的は、率が高いことばを使うべきではないとか、古いことばをどんどん切り捨てようとかいうことではありません。状況や文脈によっては、いまでもふさわしい場面も当然あると思います。自分にとっても、だれがなんと言おうと使いつづけたいことばがいくつかあります。

 2段落目にも書いたように、この結果は、それぞれの語が最近どのように受け止められているかを大ざっぱに知るための一助にしていただければ幸いです。それ以上の意図はありません。

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