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  • 越前敏弥
    文芸翻訳者。 いまのところ、更新は週1、2回程度です。 ご感想・お問い合わせなどは office.hyakkei@gmail.com へお願いします。
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2013年9月 2日 (月)

Sophie Nudivue をどう訳すか

The Japan Times ST》に連載中の「ダ・ヴィンチ・コッドに挑戦!」では、脱力パロディ本 The Da Vinci Cod を課題として、翻訳にまつわるあれこれを書かせてもらっています。

 このブログで、少し前に「ヒロイン登場?」という記事に書いたとおり、いま出ている9月6日号で、この作品のヒロインである Sophie Nudivue が初登場します。この名前をどう「訳す」かということがきょうのお題です。 

 もちろん、発音どおりそのまま表記すれば「ソフィー・ヌディビュー」あたりでしょうが、このパロディ本の女主人公としては、それでは不十分です。何しろ、被害者の名前がサウナデネール(サウナで寝る)なのですから、それに対抗できる名前を考えたいところです(サウナデネールの名前の由来については「Sauna-Lurkerをどう訳すか」を参照してください)。 

 今回の場合も、考慮すべき点はふたつです。 

 まず、本家『ダ・ヴィンチ・コード』のヒロインであるソフィー・ヌヴー(Sophie Neveu)と似た名前であること。 

 もうひとつは、Nudivue を分解すると nudi-(裸の、ヌードの)+ vue(フランス語の「見る」という意味の動詞 voir の過去分詞女性形、つまり「見られる」)になるということ。ちょっとこじつけめくかもしれませんが、Sauna-Lurker も裸を連想させるちょっといかがわしい響きの名前でだったので、Nudivue もそれに匹敵する、いや、それを超えるくらいのインパクトがある名前にする必要があります。 

 以前クラスで扱ったとき、半数ぐらいの生徒の訳はそのまま「ヌーディヴュー」「ヌーディヴー」などでしたが、残りの半分は意味を生かしてあれこれ工夫していました。ここに並べてみます。なんとなく、下へ行くほど強烈になる気がします。 

  ・ソフィー・ヌードミル 

  ・ソフィー・ヌードミセール 

  ・ソフィー・ヌードミシェール 

  ・ソフィー・ヌードミチャウー 

  ・ソフィー・ヌードマルミエール 

 このほか、前回の記事を書いたあと、ツイッターでこんな答を送ってくれた人がいました。 

  ・ソフィー・ヌグー 

 これは盲点というか、自分ではまったく思いつきませんでした。最も簡潔で、意味と音韻の両方を考慮した名訳だと思います。 

 わたし自身は、まず 

  ・ヌードミルー 

 というのを思いつきましたが、よく考えると、ソフィーはヌードを見る側ではなく見せる側のはずなので、最終的には 

  ・ヌードミテネー 

 にしてみました。音よりも意味を重視した選択です。もちろん、どれが「正解」だなどと言うつもりはありません。こういうのは、多く集まれば集まるほどおもしろいので。 

 いま出ている9月6日号の連載第23回でも、上の内容にふれています。この回はほかにもパロディ本の翻訳にまつわる重要な問題についていくつか書いたので、よかったらこの号だけでもご覧になってください。 

 早いもので、連載開始からもうすぐ1年になるため、次回の9月20日号が「ダ・ヴィンチ・コッドに挑戦!」の最終回になります。

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