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  • 越前敏弥
    文芸翻訳者。 いまのところ、更新は週1、2回程度です。 ご感想・お問い合わせなどは office.hyakkei@gmail.com へお願いします。
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2012年6月22日 (金)

朝日カルチャーセンターの指定課題書

 少し前から、朝日カルチャーセンターの講座で扱っている指定課題書を右側に並べて紹介しています。東京はこのすべて、大阪はこの一部を1回につき1冊読んできて、全員で感想を言い合う時間を20分程度とっています。

 このような試みをはじめたのは、まず何よりも、小説の翻訳をやりたければ翻訳小説をたくさん読まなくてはいけないという、ごく当然のことを再確認するためです。もちろん、日本人作家の本を読むことも原書を読むことも不可欠ですが、翻訳書においてどんな表現がスタンダードとなっているのかは、翻訳書からしか習得できません。

 また、みずからが翻訳文化の担い手だという自覚を強く持ってもらいたいという気持ちもあります。野球を観たりプレイしたりが好きでもないのにプロ野球の選手になりたいという人はいるはずがありませんが、小説の翻訳の場合、どういうわけか、本が好きでもないのに「英語が好き」という、わたしにとっては意味不明の理由で文芸翻訳のクラスに来る人が少なからずいるのが実情で、そういう人たちにまずは翻訳書の楽しみを知ってもらいたいと考えています。

 さらに言えば、自分自身もまた意志の弱い人間のひとりなので、このように半強制的に課題書を作ることで、読書やみずからの勉強のペースメーカーにさせてもらっているという側面もあります。いま課題書にしてある本のなかには、自分がすでに読んでおもしろいと感じたものだけでなく、未読ながらこの先なんとしても読まなくてはならないと思っているものもあります。

 先日、あるクラスのあとで食事会をやっていたときには、その日の課題書を肴にして、かつてないほどの談論風発の場となりました。訳読の課題だけを出していたころにはけっしてありえなかったことです。今後は受講生の側からも、これを課題書にしたいという声が出てくればいいな、とひそかに思っています。

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